転職を考えている方で、転職先を大企業にしぼるか、ベンチャー/スタートアップ企業に飛び込むか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
これらは相反する企業のようですが、それぞれに特徴があり、それに応じた働きがい・やりがいがあるため、あなたに向いているか、そうでないかは一言では説明がつきません。
そこで、この記事ではベンチャー/スタートアップ企業で働く場合のメリットを6つに分けて解説していきます。ぜひ転職活動の参考にしてみてください。
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ベンチャー/スタートアップで活躍する人の特長10
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【1】希少な存在になれる
社員数が50,000人の企業における1人になるのか、50人の企業における1人になるのかによって、1人がもつ影響力は大きく変わってきます。
例えば、50,000人規模の大企業の場合、一社員にとって経営会議は雲の上の出来事かもしれません。自分自身がやりたくないと感じるようなことであっても、"雲の上"で決まったことはルールとしてやらなくてはなりません。そこには、個人の考えや価値観は存在せず、企業としてのルールだけが存在します。もし、社長に意見を言おうとしても会うことすら叶わない。社長の姿を見るのは、年に数回の朝礼くらいという企業も少なくないでしょう。
一方、ベンチャー企業の場合、とにかく社長や経営幹部との距離が近くなります。
社長が右と言えば右、左と言えば左なのは、大企業でもベンチャーでも同じかもしれません。ですが、ベンチャー企業の方が「本当に右でよいのでしょうか?」「左の方がよいと思います。」と社長に意見を言える機会が圧倒的に多いのです。
ベンチャー企業であれば、全社会議≒経営会議になりますし、たいてい社長も同じフロアで仕事をするため、コミュニケーションが取りやすく、組織の最高意思決定者に対して意見が言いやすい環境だといえます。
自分の意見が通るか通らないかは別としても、常日頃から"経営レベル"での議論ができる環境です。ベンチャー企業で働くということは、1人ひとりが会社を左右する存在であり、経営者視点にもなれるため、自分の視野を広げたり、意思決定の観点を身につけられる非常に良いステージになるでしょう。
【2】意思決定のスピードが早い
ベンチャー/スタートアップ企業と大企業とで違うのは、何といってもスピード感です。
大企業の場合には、権限規定があり、業務の内容や企画の費用規模によって決裁者が変わることがあります。大きな組織ほど、細かく分けられていることが多く、「この企画の決裁者は誰なのか」を探すだけでも苦労することが少なくありません。
また、意思決定をするために会議が設けられている企業も多いでしょう。仮に、そうした意思決定のための会議が週1回のペースなのであれば、決裁を取るまでのスケジューリングも練っておかなければ、1回逃した時点で1週間の遅れが確定してしまいます。さらに「課長の承認は得たけど、部長でひっくり返された」など、意思決定者が複数人いると最終的な「意思決定」までの道のりは遠く、時間もパワーもかけなければなりません。「世の中に出すまで」に多くの時間とパワーが割かれてしまい、「世の中に出してから」の一番重要な部分に比重をかけられないケースもあるのではないでしょうか。
一方で、ベンチャー企業の場合、権限規定を細かく制定している企業はほぼ無いでしょう。なぜなら、意思決定のプロセスは非常にシンプルで、意思決定者=社長だからです。そのため、意思決定のための改まった会議は無く、同じフロアで仕事をしている社長の席までおもむき、即決裁というのもよくあることです。
そもそも、多くのベンチャー企業は勝ちパターンが確立されていないため、全てが手探りの状態です。ですから、企業が成長していくためには、常に仮説を持ち、PDCAを回して、仮説検証を日々くり返さなければなりません。結果として、意思決定のスピードの早さは、「対社内」ではなく「対社外=顧客」に対して価値を生み出すことに時間を使えるというメリットにつながります。
【3】ルールを自分で作れる、変えられる
例えば、50,000人の企業でルールを変えることと、50人の企業でルールを変えること。 どちらの方が難易度が高いと思いますか?
これは、明らかに前者であるといえます。
人数が多い企業だと、一人の社員の都合に合わせてルールや仕組みを変えることは、ほぼ不可能でしょう。ですが、ベンチャー企業あれば、社員の考えはトップにも伝わりやすく、決裁フローもシンプルなので、すぐにルールを作ったり、変えたりすることができます。
仮に、ルールを変えて上手くいかなければ、元に戻す事も容易にできます。ベンチャー企業は組織としては未成熟なので、より良い環境を作りながら成長を続けられる点が、働くメリットになるでしょう。
【4】社内業務が少ない
社員数が多くなると、異なる価値観や経験をもつ社員たちを束ねたり、部署・部門を越えてスムーズにコミュニケーションできるような仕組みを作ったり、会社として統一した仕組みやルールの構築や維持をする仕事が不可欠になってきます。企業の運営には欠かせない重要な役割ではあります。
しかし、社内業務が多くなると、顧客に向き合う本来の仕事に時間を奪うことにもなりかねません。
ベンチャー企業では、このような組織を維持するための社内業務に関しても、業務フローや意思決定フローがシンプルなため、大企業に比べると余計な時間がかからずに済むでしょう。これは、顧客に対して価値を生み出す本来の業務に集中しやすい環境のため、顧客志向を重視する方からすると、大きなメリットの1つといえます。
【5】仕事の幅を広げられる
大企業では分業体制が敷かれている仕事でも、ベンチャー企業ではそうではないことが多くあります。例えば、大企業の場合は「人事部」と「総務部」で分かれていても、ベンチャー企業の場合は「人事総務」のようにまとめられているケースがあります。
ベンチャー企業では、仕事量に対して、十分な人数がいるとは限りません。そのため、一人ひとりの社員が受け持つ仕事の領域を明確に区切るのが非常に困難で、区切らない方が良いケースが多いといえます。
「それは自分の仕事ではない」とは言っていられないくらい「総力戦」ですので、働く場合は、マルチタスクをこなす覚悟は欠かせません。
こうしたマルチタスクをこなさなければならない環境は、自分のスキルや能力を高めるチャンスでもあります。
【6】成長の機会が多い
「ベンチャーで働くと急速に成長できる」という話を聞いたことがあるかもしれません。それは本当だと思います。
「人材育成」という点で言うと、大企業には多くの研修制度があったり、専属で育成を担うOJT制度があったり、充実した育成システムによって一定のレベルにまで引き上げることができるでしょう。ですが、ベンチャー企業では、そうした育成システムがきちんと整備されている方が珍しいといえます。では、なぜベンチャー企業だと急速に成長できるのでしょうか?
それは、前述したように、ベンチャー企業の場合は人数が少ないにも関わらず、やるべきことが多いからです。当然ですが1人あたりに求められる仕事量は多くならざるを得ません。比例して、個人の責任範囲も大きくなります。ベンチャーで急速に成長できるのは育成体制が整っているからではなく、急速に成長せざるを得ない環境だから、というのが正しいかもしれません。
育成システムが整備されている大企業から、ベンチャー企業への転職を検討されているようであれば、転職後は誰かに「育成される」という考えから脱却して、「自分で自分を育成する」という考えを持ちましょう。自ら成長しようという意思をもって、継続して勉強し続ける熱意を持ち続けてほしいと思います。
ベンチャー企業の場合は理論だけではなく、実践を伴った知識・知見を吸収する機会に恵まれているため、学んだことをすぐに活かせる場が作りやすいでしょう。もちろん仕事量も多く大変ではありますが、意欲があれば劇的な成長を遂げられる環境であることは間違いありません。
このように、ベンチャー/スタートアップ企業ならではのメリットが多くあります。あなた自身が働きながら、新たな価値やメリットを生み出せる可能性も多いにあります。