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プロコミットキャリアの採用サポート
岩本:
人材を表現する言葉に、ヒューマン・リソース、ヒューマン・キャピタル、ヒューマン・アセットという言葉がありますが、それぞれの言葉の定義は一般的にどのようなものなのでしょうか?
ヒューマン・リソース(Human Resource)
人間を単なる労働力という視点ではなく、会社が持つ資源であるという考え方。
ヒューマン・キャピタル(Human Capital)
人間が持つ知識や技能を資本として捉えた経済学の概念で、バランスシートの貨方の一部に相当する考え方。
ヒューマン・アセット(Human Asset)
人材を資産の視点で捉えた概念で、バランスシートの借方に相当する考え方。
成長過程の企業にとっては、人材一人ひとりの経営に対するインパクトは、非常に大きくなります。そのため、人材を「リソース」でも「キャピタル」でもなく、バランスシートの借方の概念である「アセット」を軸にマネージすることが重要となります。つまり、これが「ヒューマン・アセット・マネジメント」という考え方です。
ヒューマン・アセット・マネジメントのポイントは大きく以下の3点です。
ポイント1
投下資本(=ヒューマン・キャピタル)をどの程度アセット化できるのか。つまり稼げる人材にできるのか。
ポイント2
ヒューマン・アセットをどう大きくできるのか。ヒューマン・アセットは無形資産であるため、バランスシートに数字として表現されるものではありません。ですが、これを可視化した場合、どの程度のアセット価値があって、これを人材の掛け算でどう大きくしていくか。つまり組織力をどう強化していくか。
ポイント3
有形資産と無形資産を含めた、トータルなアセットをレバレッジして、ビジネスモデルにどう落とし込んでリターンに結び付けるか。
採用論で考えた時には、上記の1から3まで見据えた採用をできているかがキーとなります。
これまでさまざまな成長企業を見てきた感想としては、ヒューマン・アセットの視点でマネジメントをしている会社は少ないように思われますが、是非、ヒューマン・アセットの視点で取り組んでいきましょう。
具体的には、以下に挙げている3つの論点について、社内で議論をしていただき、実践していただきたいですね。
論点1
キャピタルをアセットにするには何が必要か。採用した人材が自社にマッチして戦力化するにはどうすればいいか。
論点2
自社のヒューマン・アセットは何なのか、どの程度の価値をもたらし得るのか。
論点3
ヒューマン・アセットをビジネスモデルの進化にどうつなげるべきか。
清水:
岩本先生が提起した、「ヒューマン・キャピタルをアセットにするには何が必要か。採用した人材が自社にマッチして戦力化するにはどうすればいいか。」は興味深い論点です。
成長企業においても、「積極採用期の後」にこの課題を抱えるところが多いように思います。
いわゆる積極採用期には、人手が足りないという現場のひっ迫した声に呼応して、経営陣も人事部門も採用に対して前のめりに突っ込んでいきます。もちろん、採用基準を安易に下げるというわけではないのですが、見方が近視眼的になり、「今、活躍するか」という基準のみに重きが置かれがちです。そしてその後しばらくして、積極採用期に入社した数多くの人材を前にして、人事戦略の見直しが図られるケースが散見されます。
人材をB/Sに当てはめて捉える考え方を理解することは容易ではありませんが、採用選考にあたり、「採用した人材が資産として中長期にわたり貢献し続けるか」という問いを持っておくことには大きな意味があるのではないでしょうか。 一見当たり前のように聞こえますが、「積極採用期」に良くある落とし穴だといえますので、注意が必要だと考えます。
岩本 隆|慶應義塾大学大学院 経営管理研究科特任教授
東京大学工学部卒業。UCLA博士課程修了(Ph.D. in Materials Science and Engineering)。モトローラ、ルーセント・テクノロジー、ノキア、ドリームインキュベータ(執行役員)を経て、2012年より現職。成長企業の戦略論、新産業創出に関わる研究を実施。
清水 隆史|株式会社プロコミット 代表取締役社長
早稲田大学法学部卒業。ベンチャー企業の経営企画室長としてIPO達成後、ドリームインキュベータに入社。企業の成長戦略、資金調達、組織改革、新規事業のコンサルティングに従事。2005年より現職。成長企業の中途採用支援を行う。
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Topics: 成長企業の採用論