日本の成長企業

リクルートのモノづくりは、スタートアップの雰囲気に近い。

株式会社リクルートライフスタイル
リアルマーケティング開発グループ 大宮英紀 氏

1979年生まれ。大学卒業後、NEC(日本電気株式会社)に入社。主に証券会社の新規システム開発などに携わる。2007年に株式会社リクルートライフスタイル(当時のリクルート)に転職後、「じゃらん」を担当したのちクーポン共同購入サービス「ポンパレ」の立ち上げを担当。2013年、新規サービス「Airレジ」の開発を担当し、現在に至る。

大宮さんはもともとエンジニアだったのですね。

株式会社リクルートライフスタイル リアルマーケティング開発グループ 大宮英紀

大学を卒業して3年半ほどはNECのエンジニアとして、主に証券会社などの新規システムの開発です。私はどちらかというと自分で手を動かすことが多い仕事でした。何百画面もコーディングをしたり、ホテルに泊まりこんでプログラミングをしたりもしていました。

途上、開発上のトラブルに立ち会う機会も経験しましたが、無事にリリース日を迎えて、自分がつくったものが世の中で使われるところを間近で見ると、感動もひとしおでした。そういう意味では、キャリアのスタートはとてもよかったと思いました。しかし、3年くらい経つと、キャリアの「次のステップ」が見えなくなっているような気がして、転職を考えるようになりました。

リクルートに転職したのは、エンジニアとして開発に関わってきた経験に閉じず、営業のように、これまで全く経験が無い業務も担当して幅を広げたいという想いがあったからです。リクルートで最初に携わったサービスは、旅・ホテル予約サイトの「じゃらんnet」でした。

当時は、競合と比べるとサービス規模も小さいものでしたが、少しずつシェアを広げていく楽しさを感じられたことや、QCD(クオリティ、コスト、納期)や要件を決めながら大規模リリースを行う興奮を感じられる場だったと思います。それに、現在のリクルートライフスタイルの社長である北村など、ユニークでエッジの立った人たちと一緒に仕事ができたことは、自分のキャリアが磨かれる貴重な体験になったと感じています。

そこから、新規サービスの立ち上げにかかわっていくことになるのですね。

次に手がけたのは、クーポンやチケットの共同購入サイト「ポンパレ」の立ち上げです。これは、企画段階から自分たちで行い、ごく少人数でプロトタイプ作りから、事業企画まで同時並行でやりました。今でこそフラッシュマーケティングは定着しているといえますが、当時はまだアメリカでは話題になっていたものの、日本では本格的にポジションを確立しているサービスはない状況でした。これで私は、新規サービスをゼロから立ち上げることに強い興味と手ごたえを得たのです。 そして、社内で自ら手を挙げ、「Airレジ」の立ち上げを担当することになりました。

「Airレジ」は、最近サービスインしたばかりですね。どんなサービスなのでしょうか。

株式会社リクルートライフスタイル リアルマーケティング開発グループ 大宮英紀

店舗では、キャッシャーを含む「レジ」がよく使われますが、近年は高機能・高価格化が進んでいる状況です。そのため、よく見てみると個人商店などでは「レジは置かず、電卓で計算し、金庫でお金を保管する」というところが多くあります。そうしたところに着目したのが「Airレジ」です。 スマートフォンやタブレットで行える「クラウドレジアプリ」と言えますね。iPadなどのタブレットにインストールするだけでレジとして機能しますので、お店のコストや業務負荷が大幅に軽減できます。

リクルートがこのようなプロダクトを開発するのは意外に思われるかもしれませんが、リクルートライフスタイルの営業部門は、日本全国の店舗とリアルに接しています。 これは、リクルートライフスタイルならではの強みです。

最終的にはお店に対する集客面でのサポートも行うことを視野に入れていますので、Airレジを起点にして、店舗のみなさまが「本来やりたい仕事」つまり、来店者へのおもてなしに注力できるようサポートできるツールに育てていきたいと考えています。まだ公表できないことが多くて恐縮なのですが(笑)、既にリクルートライフスタイルが持っている「ホットペッパーグルメ」などのメディアとの連携も行っていきますので、かなりの広がりを期待して頂けるのではないかと思います。

サービスインまでの期間が、相当短かったとお聞きしました。

株式会社リクルートライフスタイル リアルマーケティング開発グループ 大宮英紀

確かに、サービスインまでのリードタイムは今から思うと短かったです。社外の方がイメージする大企業のスピード感とは全く異なりますね。しかも、リクルートライフスタイルには営業部門やカスタマーサポートもありますから、他部門も巻き込んで、フローを作っていく大がかりなものになるため、相当な濃度で複数の仕事をやってのけた、という感じです。完全に社内ベンチャーですね。

サービスインに向けて、やること・やらないことをしっかり切り分けて「これを今やらなくてもこのサービスは実現するか」といった判断基準で無駄を削ぎ落とし、125%くらいの全力疾走状態を維持して、何とかなりました(笑)。ですが、一番のポイントは一緒に仕事をするメンバーだったと思います。いかに優秀な人と一緒にやれるか、それが決定的に大きな成功要素だったといえます。

リクルートライフスタイルは新規事業の立ち上げや、新プロダクトの開発に適した場所だと感じますか。

株式会社リクルートライフスタイル リアルマーケティング開発グループ 大宮英紀

そう思います。新規ビジネスを立ち上げるのは、ベンチャー企業を立ち上げることに似ていると思います。「お金、人材、モノ(資産)」が不可欠です。リクルートライフスタイルでは、新規事業を立ち上げるにあたってふつう最初に直面する「お金の心配」がありません。やりたいことをきちんと説明すれば、お金は使えます。人材に関しては、優秀で志が同じ仲間がたくさんいます。それに、有形無形のこれまで蓄積された資産も大きいです。

たとえば、全国に張り巡らされた営業のネットワークや、ブランドなど、新規事業の立ち上げをピュアに追及できる資産があります。 「現状維持より成長」という文化が根付いていますから、レバレッジが効く「大きなこと」を考えることが推奨されています。コツコツ積み上げることも重要ですが、せっかくリクルートの力を使うのであれば、大きな構想を持ち、リクルートの資産を最大限に活用して事業をやれるのが醍醐味だと思います。これまで培ったリレーションやナレッジといった資産を活用し、「リクルートならではのサービス」を生み出すことができるはずです。

その1つが「Airレジ」ということですね。リアルとwebを融合させたサービスは、今後のリクルートにおいてどういう意味を持つと考えますか。

株式会社リクルートライフスタイル リアルマーケティング開発グループ 大宮英紀

会社は新陳代謝がないと落ちていく一方です。そういう緊張感の中で、リクルートは「紙からwebへの変化」に対応してきました。しかし最近感じるのは、webとリアルの本格的な融合です。webだけでは完結できない領域にまで、webが流れ込んできているという感じがします。そういう場こそ、リクルートの強みが生かせるのではないかと考えています。

今の世の中の流れは、リクルートにとって追い風になっている、ということです。 Airレジはあくまでもリクルートライフスタイルの戦略的新規プロダクトの一つですが、これでできることには大きな広がりがあります。ECがイノベーションだったように、このAirレジを中心としたエコシステムもまた、大きなインパクトを生み出せるのではないかと考えています。

リクルートライフスタイルには、どのような方がフィットすると思いますか。

株式会社リクルートライフスタイル リアルマーケティング開発グループ 大宮英紀

先ほどお伝えした通り、世の中の流れが、webで完結するやり方から、リアルも巻き込んだアプローチに変わってきています。リアルだけの思考でも、webだけの思考でもよいサービスを生み出すことができない時代になってきたと感じます。よって、リクルートのお金、人材、資産をフルに活用し、人々の行動を変え、世の中に真のインパクトを与えたいと考えている人にとっては、本当にやりがいがある環境だと思います。

ネット系のスタートアップにも、ネット大手にも、既存の大企業にもないものが、リクルートライフスタイルにはありますから。ただ、その舞台でどんなことをするのかは、その人次第です。「どうせやるなら、大勢の人の前で思い切りやりたい」、という人と一緒に働けると嬉しいですね。

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