- 2016.08.05
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清水 隆史|株式会社プロコミット 代表取締役社長
早稲田大学法学部卒業後、マーケティング会社での企画・営業を経て、経営企画室兼IPO準備室長としてIPOを達成。その後、ベンチャー投資及び戦略コンサルティングを行う株式会社ドリームインキュベータに参画。ベンチャー企業の成長戦略、資金調達、人事戦略を支援する一方、上場企業に対する組織改革、コスト削減、新規事業のコンサルティングに従事。2005年に株式会社プロコミットを設立し、代表取締役に就任。
人材紹介コンサルタントにとって有効だと感じるスキルはいくつかありますが、そのうちのひとつに、「仮説を持つ力」があります。
人材紹介の事業では、たとえば企業訪問の前に、相手企業のビジネスモデルを調べるだけでなく、「こういう課題があるのではないか」「こういう人材が求められているのではないか」といった点について、粗くてもアタリがついているかどうかは重要だと思います。
コンサルタントとして経験を積むほど、仮説の精度が上がりますので、先方とお話しした際に、「やはりそうだったか」と思う回数が徐々に増えてきます。
「結局、相手と会ってヒアリングするのであれば、仮説などなくても、素直に質問を積み重ねればいいじゃないか」という考え方もあります。しかしながら、ベースとなる仮説があり、それと頭の中で照らし合わせながら解明していくのとそうでないのとでは、最終的に到達する深さが違うと思うのです。
なぜかというと、仮説を持っていると、(失礼ながら)相手が言うことを鵜呑みにしなくなります。例えば人事部の方からお話をお聞きしたとしても、「果たして経営者もそう考えているだろうか」といった疑問が頭に浮かびます。その健全な疑問をもとに、(礼儀正しく)質問を重ねていけば、思った以上に深い構造に至ります。相手が話すことをそのまま聞いているだけでは、きれいごとだけで終わってしまうこともよくありますから..。
一方で、仮説とセットで決定的に重要なのは、「柔軟性」です。
柔軟性を欠いた仮説は「思い込み」や「決めつけ」を生みます。
これは人材紹介コンサルタントにとって致命傷といえます。
特に、キャンディデートとの面談において、「おそらくこういうバックグラウンドの方は、こういう転職意向を持つだろう」といった仮定で話を進めてしまうことは意外とありがちで、かつ、大変危険です。キャリアの話は非常にデリケートです。こちら側としては一定のパターンを見出しているとしても、ご本人にとってはそれぞれ個別の事情です。一定のパターンに当てはめて受け止められていると感じられると、関係構築がうまくいかないケースが往々にしてあります。
仮説を持ちつつも、場面によってはそれを相手に感じさせない、そして、仮説がどうやら違うらしい、ということがわかってきたら、すぐに軌道修正すること。これは私たちが日々、気を付けていることです。この姿勢なくして仮説を持つことはむしろ有害だからです。ただ、これが意外と難しいのです。仮説と思い込みは違う。まったく違う、ということです。
この仕事は、フラットであること、ニュートラルであることが強調されることが多いため、仮説の有効性が語られることが少ないように思うのですが、正しく使えば、仮説は人材紹介コンサルタントの有効な武器になる、そう思っています。
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清水 隆史|株式会社プロコミット 代表取締役社長
早稲田大学法学部卒業後、マーケティング会社での企画・営業を経て、経営企画室兼IPO準備室長としてIPOを達成。その後、ベンチャー投資及び戦略コンサルティングを行う株式会社ドリームインキュベータに参画。ベンチャー企業の成長戦略、資金調達、人事戦略を支援する一方、上場企業に対する組織改革、コスト削減、新規事業のコンサルティングに従事。2005年に株式会社プロコミットを設立し、代表取締役に就任。
Topics: コンサルタント
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